世界の色(前編)
■事前のいい訳■
えっと、これは友だちに送り付けた恋一なれそめ話でございます。友だちにさえ楽しんでもらえればいいやと思っていたんですが
友だちが「自分だけで楽しむのは勿体無い」とまことに勿体無いお言葉をくれまして、そうしたら欲が出てきて他の方にも見てもらいたいな。。と。
多分はじめからサイトにアップするつもりで書いていたらもっとガチガチになっていて三部までかけなかったと思います。
ちなみにこのSSの前にも状況があってそれは友だちには送りつけ済みなんですがこれはSSの形にはなっておらず
もろプライベートなメールの一端になっているのでここに掲載するのはやめておきますが
いちおう、内容を要約すると以下になります。
※恋次くんとべりたんは卍解の修行を一緒にしている。(ちなみに例の温泉にも混浴済み)
※そのときに恋次くんはべりたんにさりげに告っている。
※ちゅうしてしまいました。
※で、そのまま一気にいっちゃおうと思いましたがルキア救出あとにしようと。
※それ以前にべりたんがものすごく天然ウブでした。
あと
※恋次くんの髪の色をべりたんが褒めている。
をあげておきます。
以上をふまえた上でお進みくださいませ。
なにぶん初SSの上に携帯で打っていて
サイトに転載する際、どこで改行していいのかわからなくて
テキトーな部分で改行しています。
お見苦しいかとはおもいますが何卒ご容赦を。
07/05/17 天國海軍
「お前、あんとき繋がってたのって背骨だけだったんだろう?」
「いや、俺は自分では背骨も千切れたと思ったぜ。腰から下なくなったって…」
見事に治るもんだ。
あの一護と一緒にやってきた娘――井上とか言ったな――の回復術はたいしたもんだ。全く四番隊に引けをとらねぇ。
ほぅっと感嘆の息を漏らしながら俺は一護の…あの時はおそらく内臓までへしゃげていたであろう…
臍まわりについ指を滑らせていた。今じゃ傷痕ひとつ残っちゃいねぇ、白い肌。
「止めろって、くすぐってーよ」
あぐらをかいたまま後ろ手をつき身体を反らして俺の要望に身を任せていた一護は
笑いながらはだけていた死覇装の前をあわせた。
藍染の裏切りによる双極の丘での戦いから十日たつ。
確かにあってはならない出来事だったが…
それによって…過去だの掟だの、いろんなしがらみにがんじがらめにされていた
幾人かの「罪人」ははれてその科や呪いの荷物をその肩から下ろすことを許された。
…そんな「事件」だった。
俺もその科人の一人ではあったんだが…。
――もうルキアを朽木家に送りだしてしまったことを後悔しなくていいんだな――
悩める科人たちの目を醒まさせてくれた張本人は――
今さっき俺の自室のど真ん中であぐらをかいて腹を出して見せていた。
いや、見せろって言ったのは俺だけどな。
あんだけ瀞霊廷内を走り回っていたんだ。治ってるに決まってるんだがそこは口実。
心配する素振りで俺の家に連れこんで…いや、ご招待して…ついに一線をだな…
越えさせてもらうぜ卍解!って魂胆なんだが…。
しかし一護はそんな俺の思惑なんか…分かっちゃいねーんだろうな。
もの珍しそうに部屋のあちこちを眺めている。
「っかしスゲーな。副隊長ともなるとこんなデケ〜家に住めんのかよ」
「ここはまだ狭いほうだ。隊長ンなるとハンパねーぜ。でもあんま用はねぇ。ほとんど帰らねーし」
「どこで寝てんだよ」
「六番隊隊舎」
「寝るとこあんのかよ」
「何処でも寝れるような育ちだからな。かえってここは俺には広すぎて落ち着かねぇ」
「広いにこしたことねーと思うけどな」
「そりゃお前、家族がいたらな。一人だと…」
「恋次、家族とかって?」
「いねーよ」
答えると一護はしまったみたいな顔をして、
それから申し訳なさそうに「ごめん。変なこと聞いた」と謝ってきた。
「べつに気にしてねーよ」ったく…こういうとこは大人な気回してくれるんだな…。
「でもよ…」
「でも?」
「仲間は多いからな」
「…うん」
「それに今日はお前が居るし」
瀞霊廷の建物は基本、色がない。
白か、黒。それは建物内も同じで「目に静か」だ。
そこに住まう俺たちも黒い死覇装に身を包み黒い影のように日々を過ごす。
霊を統べることが生業の死神は日常を色付ける暇はない…いや、してはならないのかも知れない。
しかし今、俺の部屋はたった一人の人物を組み込んだとたん鮮やかな空気に染めあげられた。
俺の部屋はこんなに明るかったっけ?
こんなに温かかったっけ?
「…明日、帰んだろ?」
「ああ、ルキアの隊の隊長が明日には門の手筈整うからって」
「…ってけよ」
「え?」
「泊まってけって」
「…」
「お前現世に戻んだろ?」
「ああ」
「そしたら会えなくなるし」
「…あっ…そうだな」
「なに笑ってんだ?俺と離れんのがそんなに嬉しいのか」
「違っ…ほら、俺らって旅禍とか言われてたじゃん。つまりここじゃ招かれざる客って事でさ」
「あぁ」
「それがよ。今じゃ客扱いでスゲーし。なんか知らねーやつが丁寧に頭下げてくれんだぜ」
「…恩人だからな」
「…で、お前までこうやって名残を惜しんでくれるっつーか。
俺とお前って懺罪宮の下んとこで殺しあいやったんだぜ?それが…」
「あぁ」…どうかしていた。あん時の俺は。
ルキアをみすみす死においやろうとしている自分、いや、半分仕方ないとさえ思ってしまっていた。
そう決まってしまったのだから仕方ないと。
現世に赴き自分の手でルキアを捕らえておいて、
その責を「決まったことに逆らえない」「ルキアの能力を奪った人間」に転嫁して逆ギレしてるだけだった。
なのにこいつは「自分の責は自分で落とし前をつける」勢いで乗り込んで来たんだ。
覚悟の程が違う。
だから…俺は負けたんだ。
色を見ないようにして生きてきた俺は、
あの時、世界には色があるってことを嫌と言うほど脳裏に網膜に叩きこまれた。
即ち世界には色がある。
後悔の色、懺悔の色、痛恨の色、怒りの色、悲しみの色、希望の色、願いの色、友情の色。―――そして愛しい色。
「運命ってやつは――わからねぇもんだな」
お前と俺の運命の色は――何色なんだろう?消えいりそうな淡い色なのか、
心に焼き付いてしまうような鮮やかな色なのか。
見てみたい。
そして願わくばそこにさらに色を付けていきたい。一緒に。
「一護」手を伸ばしていた。お前の色に触れたくて。
日溜まりの色。
部屋に差し込む西陽をうけて黄金色に輝く。
こんな綺麗な色がこの世界にはあったんだな。
みとれつつその色の下に形作られている顔に視線を落として驚いた。
目を閉じて頤(おとがい )を突きだし…ってコレ誘ってんじゃんかよ!一護ぉ!
「何やってんだぁ」
「え?やんねーの恋次」
「やるって…」「あん時やったじゃん」
「やって…いいのか?」「そのつもりでお前の招待受けたんだけど…」
おみとーしって訳でしたかーい(汗)魂胆ミエミエだったんですね俺ってやつは〜っ。
「やんねーならべつにいいけど…泊まっては行くぜ」
いや、それはかえって不自然だろがっ。
心身共に健康な男男交際中の野郎二人がひとつ屋根の下でなにもしないで夜あかしましたってかなり変だって。
やはりここは一気に…。お前がそのつもりなら話は早い。
今ここで奪わせて頂くぜ。一護。
(続く)