425話の、なんだか腰の据わってないベリたんの姿がどうも痛々しい・・
というので、もしかしたら・・・と捏造。


Endless emptiness


端からみりゃ反抗期をこじらせて長引かせたら
こんな高校生出来るんですって云うふうな感じかも知れない。


親父の声に揺さぶられて迎える朝。
あの頼もしい死覇装はもしかしたら良く似た他人だったのかと訝るほどに呑気でお気楽な面を見て
はっ倒したくなる・・・までは行かなくても
間髪入れずに辛辣な言葉をブッ刺さなきゃ気が済まないようになってるのは、
ちょっと油断したらお互いの間にすぐ出来ちまうわずかな沈黙から、
あの出来事を思い起こさないようにする為だ。
親父は親父なりに気を遣ってくれてるんだろうとは思う。
思うけど。
                  

周りには金の為ってことにして、実のところ一人で居る時間が嫌で始めたバイトも、
結局一人で店番ばかりでつい休みがち。
雇い主がざっくばらんな人だから、
クビは切られずに済んでるものの、正直自分でも甘えてると思う。
思うけど。
                  

たまに出歩きゃ、この髪のせいでケンカをふっかけられる。
『ただの人間』に敗ける気はしないから…だからついやっちまう。
気の短いやつとかヤンキーとかのレッテルを貼られてるとは思う。
思うけど。
                  

唯一集中できるクラブだって、
ひとつのところに、
てか、『ほかの誰か』に縛られるのが嫌で、
だから、気持ちじゃなくて金で。期限を決めて。
真面目に努力してやってる部員からしたらムカつくやつに見えてるんだろなって思う。
思うけど。
                  



とにかく、一人でじっとしていたくないんだ。
一人の部屋、
衣擦れだけ
スプリングのきしみだけが語りかけてくる中でベッドに潜り込んでいるのが一番辛い時間。

何度寝返りを打っても打っても
この肌に感じるのは寂しさばかり。
この耳に聞こえるのは静けさばかり。
この指に絡みつくのはしなやかな赤い筋じゃなく、寒々しい虚しさばかり。

眠りに落ちるまでの長い時間、よぎるのはあの影。
眠りに落ちて夢の中でも影のまま。

今朝のあの影は俺になんて言った?



嫌なやつで良いんだ。
あいつの居ない、
あいつに関係ない場所で素直になってやる必要なんてないんだ。
だから。

「寂しいよ」
なんて言う必要ないんだから。

もし奇跡が起きて、
もしあいつが影じゃなく赤い色を纏って目の前に現れて、
そして今の嫌な俺を見て、
例えば、例えばそうだな…そう、あの大きな手でポカリとゲンコツをくれたなら
俺はきっと素直にごめんなさいって…
                  
…言えるわけないけど、
もう馬鹿みたいなことは止めるって約束したって良いんだから。

そうしたら、その腕で包んでくれるか?
そうしたら、この静けさをその声で埋めてくれるか?
そうしたら、この寒々しさをその胸で暖めてくれるか?

会いたいよ。
もし見ててくれんなら、

今夜、せめて夢の中だけでも抱き締めてくれよ。


お前の声で朝を迎えたい。

お前にわがまま言って甘えたい。

お前とじゃれあってケンカしたい。

そして、お前だけに縛られたい。
                   
おしまい。



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