403代目トップ。
423話に寄せてSS。
拙い&あれこれ未消化ですが・・。
恋次くんサイドから。
この恋次くんが遠く離れた場所で「喪失」を知り得たのは
魂で繋がってるからってことで・・。


イラストはページをスクロールしてもらうと下のほうに。


タイトルですが、間違えてアップしていたので
17日03:10に書き換えています。



■世界が喪失(なく)した色





その瞬間、あっと思った。
そばに居ないのに、やはり遠く離れたこの場所でもひりひりと感じる。

今、消えたのかと空を見やる。


ふつりと糸が切れたのにも似ていたが、
音が途絶えて初めて、それまでずっと音が響いていたのかと分かるあの感覚に似ている。

そう、確かに今までそばにあったのだ。
消えて初めて解る、なんという大きくおおらかな力であったのだろうか。

無くなって初めてその存在が分かるなんて、
そんな余りにも後ろ向き過ぎる言葉を今は使いたくはなかった。

だが浦原に聞かされて覚悟はしていたものの、
こうして実際にその瞬間を肌で感じると、
悔やまれるとか惜しかったとかいう月並みな言葉では言い表せない喪失感が
こんどは塊となって、
大切なものがさっきまで『存在(い)た』場所を占領し、
そして膝を折りうずくまる。

恋次にはそれを諾々と受け入れるしかなかった。



なぁ、一護
この夕焼けはお前の目に映る世界の色なのか?


今を以て、現世に居る一護は『力』をすべて失った―のだろう。

それは一護と恋次の間に越えられない壁が出来てしまったことを物語る。
努力とか根性とか想い合う気持ちとかでなんとかなるものではない、『在り方』の違い。
同じ場所に居るのに会えない、
伸ばしあっても触れ合えない指先
交わることのない視線、
重なることのない影、
メビウスの輪の表と裏に分かたれたかのような有無を言わせぬ隔たり。

出来ることならこんな時にこんな場所に居ないで、
まだ同じように時を、空間を感じられるうちに
一護の力の最後のひとかけらが溶け落ちる瞬間まで、
そばにいて、
抱きしめて、
愛してると囁いてやりたかった。
それこそうんざりするくらいに。

そして一護からは見えなくても、
護ってそばにいて愛していると伝えたかった。
これだってうざいくらいに。


しかし、わかっていた。

一護は泣き顔を見られるのを嫌がるから、

だから、
きっと、
笑って、

大丈夫、だから恋次、お前も早く怪我治せよ 

と、
きっと言ったに違いない。


その言葉をどうしても受け入れ…聞きたくなかった恋次は
一護の目の覚めるのも待たずにルキアに任せ、
こうして尸魂界に帰ってきてしまったのだ。


そんなサヨナラみたいな言葉は聞きたくない。


笑顔で言うなんて卑怯だ。



いつも、
いつも、
いつも
いつもいつもいつも、
お前はそうだったなぁ

いつも大丈夫って言って笑って、
そうしてお前だけが喪失(な)くすんだ。


そしてお前だけが

泣いているんだ。


そしてその肩に俺の手は…もう…


ざわざわと空気がかき乱される。
それは、偉大な力の喪失に世界が均衡をくずし
怯え、肩を震わせているようにも感じる。

この世界は、誰の世界だ?

なぁ、一護
この夕焼けはお前の目に映る世界の色と同じなのか?

この世界は、何色を喪失(うしな)った?


この喪失感になんと名前を付けていいのかわからないまま
佇む恋次を、オレンジ色の世界だけが優しく溶かす。


どれくらいそうしていたのか、
ふいに風が止んだ。


そして、耳元で声がしたような気がした。

「ありがとうな」

懐かしいその声はオレンジの空が、
そう、オレンジ色の空が齎した空耳だったのか
しかし恋次はその声に振り向かないで「ああ」とだけ返事をした。

その背中を暖かでやわらかな光が護ってくれているのを感じながら。

なぁ、一護
この夕焼けは

お前が護った・・夕焼けだぜ。









嗚呼、なにが言いたかったのか…orz
でも、不完全ながらカタチに出来てあれこれ思っていたことを出せて気持ちが軽くなりました。
読んでくださってありがとうございます。


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