『A Streak of Twilight』
先日お贈りくださった『幕間劇』の一護くん視点のお話です。東雲さん、またもやありがとうございます(人-)謝謝







−じゃあ また
そう言って、一護は空に飛び上がった。
遅くなったなと思いながら、急ぎ気味に空を翔る。
家を目指しながら、脳裏にはさっきまで一緒だった浦原の
姿が離れなかった。
 
いつもの態度
いつもの笑み
いつもの

と呼ぶ声

 
いつからだろう、それらに混じる「何か」に気づいたのは。
何が変わった訳でも、何か言われた訳でもない。
なのにふとした瞬間に感じる、掴めない感覚。
 
−さっきも、そうだった
 
いつもの浦原だった、けれども。
知らず眉間の皺を深くしながら、一護は思い返した。
何も言ってくれないのは、自分があまりに子供だからだろう、
とはわかっている。
わかっているけども、浦原に対して理不尽な苛立ちめいた
ものを感じているのも確かで。
 
−ほんとにガキ、だな
 
自嘲して、霞みはじめた空にさらに速度を上げる。
霞の向こうのように、掴みきれないのに求めてしまうのは
何故なのか。



「なあ浦原さん、

ほんとのあんたは

どこなんだよ」
 
 
呟いて、かえらない答えを待つように一護の足が知らず
止まった。
暮れ行く景色に呑まれるように、一護の姿も徐々に
霞んで行く。

俯く一護の眼の端に、不意に一条の光が見えた。
闇に向かう空に差す、鋭くも優しい光。

眼を細めて光の方向を見ながら、さっき自分を見送った



浦原の笑みを一護は思い出した。

嘘ではないけど、本当でもないかも知れない笑み。




−それでも
 
知りたい、わかりたいと言う、自分の気持ちだけは本当だと
一護は何かを振り切るように光に向かって翔けだした。






 
−終−
 






挿絵後記■
「一条の光」、
宵の明星(金星)のような気がして・・
光のカーテンのような偶然にみえた光ではなく
約束された、その時間そこにいくと必ず居てくれる(雲の向こうだとしても)光。
(勝手なイメージ押し付けになってしまってごめんなさい)
自分の気持ちに素直に、信じて、てらいなく歩いていく一護くんが愛しいです。
東雲さん、ありがとうございました。

つーか、変なタイトルつけたのは私(海軍)ですm(_ _)m


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